2013年7月4日木曜日

アサギマダラの成長(その1)/本の紹介

今回は、最近撮影したアサギマダラの幼虫を紹介します。
アサギマダラは、漢字で「浅葱斑」と書きますが、「浅葱」とは青緑色という意味の古いことばです。
その名前のとおり、成虫の羽は全体に薄い青緑色で、そこに黒い翅脈が走っており、非常に美しい蝶です。
アサギマダラの成虫の姿は、ウィキペディアの記事からご覧ください。
アサギマダラ - フリー百科事典 ウィキペディア

まずは卵の写真から。

普段から昆虫を見ていると当たり前のように感じますが、多くの昆虫は、幼虫の食べ物がちゃんとある場所に卵を産みつけます。
この写真に写っている植物も、アサギマダラの幼虫の食草であるガガイモ科の植物(正確な種類はわかりませんが)のものです。

また、アサギマダラは、卵を1箇所に固めて産まず、あちこちの葉に1~2個ずつ産みつけます。
先日ブログでご紹介したヒメギフチョウが、1箇所に十数個の卵を産みつけるのとは対象的です。

(参考)ヒメギフチョウの卵
ヒメギフチョウについての記事はこちら
おそらく、成長に必要な食草の量や、幼虫の生存率に関係した戦略があるのだと思いますが、詳しい方、コメントをお願いします。
卵から孵化したあと、幼虫は食草を食べながら成長していきます。

アサギマダラは、食草であるガガイモ科の植物から毒を体内に取り込み、天敵から身を守っています。
また、アサギマダラの幼虫・蛹・成虫は、いずれも派手な色と模様をしていますが、これは有毒であることを天敵にアピールするための「警戒色」であると言われています。


余談ですが、東南アジアなどに生息するカバシタアゲハという蝶は、アサギマダラの警戒色をまねて、天敵から身を守っています。
このように他の有毒な種や、味の悪い種に形態や行動などを似せて天敵から身を守ることを、「ベイツ擬態」と言います。
身近な例では、ハチに姿や羽音を似せているハナアブなどがあります。
ハナアブは毒や針を持っておらず、人を刺すこともありませんが、カエルやトカゲなどの天敵は、危険なハチと見間違えてしまうので、捕食される確率が下がるのです。
これらの「警戒色」や「ベイツ擬態」がどのように進化してきたのかを考察し、わかりやすくまとめた本を紹介します。
擬態の進化 ダーウィンも誤解した150年の謎を解く
著者:大崎直太
出版社:海游舎
価格:3,150円


オンライン書店 e-hon
昆虫の擬態の進化について、かなり踏み込んだところまで解説した本ですが、まるで推理小説のような謎解きで構成されており、専門的な知識がなくても楽しめる内容になっています。
また、ダーウィンの時代から現在に至るまでの「進化論の歴史」についてもまとめられており、読み物としてもかなり面白いです。
生物の進化に興味のある方は、ぜひ一度お読みください。
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参考:アサギマダラ - フリー百科事典 ウィキペディア